バッテリーSCORE BOARD/角川書店 |
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映画版バッテリーと原作とのコラボ本ってとこでしょうか。 書き下ろしの青波視点の小説掲載。 なぜか、あさのセンセと日ハムのダルビッシュの対談もあります。 あくまで、映画の紹介中心の紹介本なので、原作の深いところまでは書かれてはいません。 映画が気になってる人は買い。 ちなみに書き下ろし小説は、青波がどんだけお兄ちゃんを意識してるかっていうお話(笑)。 |
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ラスト・イニング/あさの あつこ |
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バッテリーの瑞垣俊二視点の物語。 時間軸的には、6巻の試合後。あの試合の経過と結果も分かります。 自分の中でまだ感想がまとまっていないのですが、 とりあえず、私はよかったな、と思いました。ほっとしたというか。 (むしろ心配なのは、変わってしまった豪だよ・・・) 読んでる最中は、とにかく哀しくて切なくてつらくて。 結果だけ見ると、確かに中途半端な着地点というか、悪く言えば よくあるベタなオチかもしれないけれど、その過程と葛藤がしっかり 描かれていたから、結局それかよ、っていう不満はほぼありません。 瑞垣の不幸は、賢すぎて器用な点なんでしょう。 だから、悩んでしまう。ある意味不器用。 ごまかしがきかなくなったから、逃げたけれど、逃げた先は・・・? 悩める10代。青春小説読んだり。 |
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12歳、ぼくの夏/江崎雪子 |
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イラスト素敵ーと手にとったら、いせひでこさんだった。さすが。 両親が離婚して、一旦は父親に引き取られたものの、父親の都合で母親と一緒に住むことになった純。 父親への不信感が募り、もやもやした日々を送っていたが、引っ越してきた北山先生と出会って・・・。 さすがいせさんの挿絵。話重! 離婚した親が、再婚するのに子どもが嫌悪感示すのって、自分にとっての「親」が「女性」あるいは「男性」のいわゆる、性別的な部分を否が応でも、意識させられてしまう点なのよね、と思って読んでたらたら、正にそうだ!と書ききっちゃってるお話でした。 子どもにとって、親は親で、男や女だなんて思ってないものね。 やっぱ、残酷だよなあ、離婚って。 このお話では、大人の身勝手さだけのクローズアップするだけでなく、子ども自身がその現実をどう受け止めて乗り越えてくか、ってことを丁寧に描いててよかったと思いました。 |
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夏目友人帳2~3/緑川ゆき |
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2巻がまだなのに、3巻を手渡してきた(何故か広告で梱包)友人に鉄槌を。 もういいよ!とばかりに、2巻は自力で購入。 ・・・わけ分からん(笑)。 2~3巻での新しい動きは、他にも妖怪を見る能力がある人たちが登場した点。 例え、「見える」ことが同じであっても、「分かり合う」こととは「別」なことを、夏目少年は知ります。 妖怪と、関わり合おうとしてこなかった。 でも、それは人間も同じだ。 うーん。うまいなあ。 連作短編ながら、ちょっとずつ、少年の成長物語になってるのがいいですね。 タマちゃんを育てる回が好きです。 「いつか旅立ちの日が来ても、それは別れの日ではないのだから」 夏目がいうと、またより深く。 |
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デュラララ!!×3/成田良悟 |
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なんてこったい、画像無いのねアマゾン。 まずは、後書き読んでビックリ。デュラハンの彼女が主人公だったんだ・・・。もーてっきりですよ。この巻が最終巻だと勘違いした方々の気持ちがよく分かるよ。 高校生3人組に関しては決着。 青春って甘酸っぱいね!と、ひたすら感じました。 ・・・正直、静雄の弟の存在しか印象に残ってない私・・・。 |
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百鬼夜行抄2~3/今市子 |
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友人に長々借りていたので、いいかげん早く読まないとと急ぎ読み。 読んでなかったのは、おもしろくないわけでなく、1話における情報量と密度の濃さで読むのに時間がかかる&頭を使って疲れるから。 幼い頃から妖怪や幽霊が見える律と、人々の物語。 誤解を恐れずに書くと、「少女漫画にもこんなおもしろい作品があるやなあ」という感じです。 大変失礼な話、少女漫画は大半が恋愛漫画で、そのすったもんだの繰り返しという偏見があってあまり好きではないのですが(そんな漫画ばっかりじゃないことは分かってはいるのですが)、この作品は、それをぶち壊す読み応えです。 更に言うと、今市子さんはイラストレーターさんのイメージだったんですが、むしろこの方は漫画家さんと呼ばれた方がしっくりくる方なんだな、漫画家さんとしてすごい方なんだなということが改めて分かりました。 二転三転する先の読めない、ストーリ展開と更にもう一回ラストの引っくり返り。所謂、ワンエピソード完結型の連作短編集的な漫画なんですが、一話としておもしろくない回ない。そして、決して後味のよい終わり方だけでないところもグーです。 シリアスばかりでなく、笑いの部分も楽しいですし(動物のお医者さん思い出す)、広く読まれて欲しい作品です(もう十分読まれてるかな)。 気になるドラマは、放映してない地域なのですが、友人がビデオ送ってくれるそうなので、楽しみに待ちたいと思います(拝み屋は気づいたら終ってた・・・)。 |
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クリスマスの幽霊/ロバート・ウェストール |
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『海辺の王国』が途中までで力尽きたので、一番薄いの選んできました(ダメダメ)。 再チャレンジ、ウェストール。 お父さんが働く工場へ、お弁当を届けに行った僕。 工場のエレベーターで、サンタクロースに似た幽霊に出会い・・・。 僕が、家族を大切に思う気持ちがよく伝わってくる素敵な物語でした。 本編が短いので、ウェストールの、自伝の一部が掲載されていますが、 なぜ、これがこの作品の後に掲載されたかよく分かります。 彼が父親を敬愛していたことが、そのまま作品に現れています。 尊敬すべき父親を持った少年は幸せですね。 |
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はるかな国の兄弟/アストリッド・リンドグレーン |
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ピッピで有名なリンドグレーン。実は作品何も読んだ事なかったので、好みそうなタイトルのをチョイス(わかりやすくてすみません) 体が弱く、ほとんど家の中で日々を過ごすクッキーと、美しく優秀な兄ヨナタン。弱い弟を大事にし、聡明な兄を誇りに思う弟。 そんな二人は、もう一つの世界に旅発つことになるのだが・・・。 子どもの頃に読んだら、もっと印象が違っていたんだろうなあと悔しく思いましたね。今読むと、この世界設定とオチはどうなのかしら・・・特に生と死についてピリピリしている昨今、とらえられ方次第ではちょっと危険な匂いもします。 いつ、兄の化けの皮がはがれるんだろう、とわくわくと読んでいたので、最後の最後まで非の打ち所のない兄像にびっくり。そして、最後の最後まで、クッキーは兄べったり。 お話全体の流れとしては、クッキーの勇気、というより、運勝負なところがあって、やはり、だからこそのこの世界なのかな、という気がしました。 続きがあるとしたら、この世界の謎が解けそうな気がしますよ。 決して、クッキーの成長物語ではないです(笑)。 存在自体が、ファンタジーのようなヨナタンの活躍と、幻想的な世界を楽しむ物語かな。 |
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“It(それ)”と呼ばれた子2~3 /デイヴ ペルザー |
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やっと、自由を得たディビットのその後の話。 虐待ものを読んでて辛いのは、もちろん虐待を受けているときの描写なんですが、それと同じくらい辛いのが、その後繰り返される悪循環。 虐待をする者から逃げる事ができたとしても、それで解決ではない。 それによって受けた傷は、簡単には癒えない。 周囲の理解と、それ相応の環境が必要なのに、それも満足にない。 アメリカの里親制度の問題や、本当にいるの?!と思われるような、精神科医。それらと折り合いをつけて生きていくのは、子ども達はあまりに心が疲弊しすぎていて、読んでて何度も歯がゆい思いをさせられました。 放火疑い事件が解決してから、デイビットが軍隊に入隊するまでが、早送り状態だったので、これで完結?と思ったら、まだまだ続くようです。 また、かりてこなきゃ。 ところで、母親に対する処置がまったくないってのがおかしくないですか?完全に治療が必要な状態じゃないですか。 |
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ぼくの心の闇の声/ロバート・コーミア |
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徳間書店の海外翻訳児童書は、本当に名作が多くて、多いのは分かっていたんですが、内容の濃さに避けてきたところがありまして・・・でも、やっぱ知らにゃいかん!と思い、とりあえず前から読みたいと強く思っていた、且つ、薄いやつを選んで読みました。 交渉をもちかけた、大人の弱さを見抜き、自身の弱さにも目を背けず認める少年の姿。そして、「それに屈してはならない」という思い。 この作品のすごいところは、ただ単純に、主人公が純粋で勇敢で、正義感あふれる人間でないという点。 優しく、純粋だけれども、ある意味、そうだからこそ、持つ、弱さと打算。 それは、どんな人間でもある一面(この作品では闇)であり、それに流されてはいけない、流される人間に立ち向かわなくてはならない(精神的に)、と作品には強烈なメッセージがこめられています。 そうして、誰にでも持つ弱さを示したうえで、尚、屈しない光りの心もあるのだよ、ということを見せてくれたことが、この作品をただの絶望的な物語にしていないと思います。正にこれからの子ども達に読んで欲しい作品。 タイトル的に、ヤングアダルト向けの、鬱々した心の内面を映し出すような作品かなと思われるかもしれませんが、全然違いますよ。 むしろ、子どもから大人まで読んで欲しい全年齢向けの作品。 この作者の本、他にも読んでみよー。 |
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光車よ、まわれ!/天沢退二郎 |
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オレンジ党シリーズの前身、なんですかね。 いまいち前後関係がよく分かってない上に、以前オレンジ党と一緒にかりてきたものの、途中まで読んで返してしまったので、余計記憶が判然としませぬ。 同級生が、急に化け物のように見えてしまったイチロウ。 仲間たちとともに、光車を求めて冒険が始まった。 襲い掛かる敵と、新しい仲間。敵の目的とは・・・? 日常のすぐ隣にある非日常。 これを読んだあとの子ども達は、水溜り見るの怖くなるんじゃないかなあ。 子ども達中心とはいえ、日本の児童書ファンタジーにありがちな、軽い冒険ものでなくて、本当に命の懸かった決死の戦いの物語です。 このじっとりとした雰囲気は、逆に海外ファンタジーではないかもしれない。 龍子さんがどうなったかが気になる。 |
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“It”(それ)と呼ばれた子 /デイヴ ペルザー |
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一時期話題になった本ですね。 虐待ものといえば、中・高時代、ヘイデンをたくさん読んでました。 話題になったときも、タイトル似てるなあくらいにしか思わなくて読まなかったのですが、ジュニア版が気になったので読んでみる事に。 1巻では、幸せだった頃と、母親による虐待が始まり、その悲惨な幼少時から小学生時が語られます。ようやく周囲が気づき、救いの手が・・・?というところで次巻となっています。気になる。 これが、現実に起きた、また、現在もこうして虐待で苦しんでいる子どもたちがいるということを知り、現実から目を背けないためにも読んで欲しい本ですね。この種の本の中ではかなり文章が読みやすいです。 |
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八月の路上に捨てる/伊藤たかみ |
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芥川賞受賞作。 伊藤たかみさんと言えば、YA作家さんで有名ですが、実は読むのはこの作品で初めて。レビューを読んでみると、既作の方が評判よさそうですが・・・。 離婚した男性が、離婚するまでの過程をこれまた、離婚経験者の同僚の女性に語るお話。 今まで読んできた芥川賞作品は、どれもあまりに生々しく、ある意味直球で、具合悪くなっちゃいそうなのが多かったんですが、この作品に関しては、リアリティあれど、そこまで嫌悪感は抱きませんでした。 人間って、男女って、なんでこうなっちゃうんだろうね、とか、恋愛って一体なんだろうね、と改めて思ってしまいました。 どうして、これで”好き”なんだろうか、とか。 恋愛関係と結婚生活が崩壊していく様子と心の動きが丁寧でした。 余裕のなさと、ずれと、言い訳と。 どっちかといえば、表題作でなく、もう一つの短編の方が好きですね。 |
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